滋賀守山美容学校、創設の裏側。校長・斉藤章行 × 教育長・天野和真 特別対談
──「奇跡の出会い」とよく言いますが、まさにお二人の出会いがその一言に尽きると思います。
斉藤:ほんまにそう思いますね。
最初に天野先生と話したとき、「業界の課題感」に対して、角度は違うけど、問題意識がまったく一緒やったのが衝撃でした。現場で肌感覚で感じていた“違和感”を、教育現場でも同じように感じていた人がいたんや…って。
天野:私もです。私が学校にいた頃は、いわゆる“国家試験に受からせる”ことが目的になってしまいがちで。
でも、合格しても辞めてしまう人が多い。
「この子たち、本当に美容師として生きていけるの?」って、何度も自問してました。
そんな時に斉藤先生の考えを聞いて、“この人なら、教育の根っこから変えられるかもしれない”と感じたんです。
──お互いに“違う現場”にいたからこそ、補い合える関係だったと。
斉藤:僕は現場出身で、美容師ではないけど、美容室の経営やサロンづくり、スタッフ教育にずっと携わってきました。
その中で、「せっかく頑張って美容師になったのに辞めていく人」があまりにも多いことに、ずっとモヤモヤしてたんです。
天野:本当に多いですよね…。
夢を持って入ってきたのに、現場に出て2年以内にやめてしまう子が9割に近い。
その原因は、単純に「技術が足りない」ではなくて、自分を知らずに進んでしまうこと、働く意味を深く考えずに卒業してしまうことなんです。
「続けられる人」を育てる学校をつくりたい
斉藤:だから思ったんですよ。「変えるなら、教育から」と。
現場で何十人と育てても離職は減らないんですよね。
業界の“入り口”そのものが変わらないといけない。
そこに天野先生の存在が重なって、「この人となら本気でできる」と思いました。
天野:実は私も、ちょうどその時に独立して、新しい教育の形を模索していたんです。
「これまでの美容学校の延長線では、未来を変えられない」と。
そんなときに斉藤先生から「学校を一緒にやりませんか?」ってお話をいただいて、もう…運命ですね(笑)
「ただの美容学校」をつくっても意味がない
斉藤:だから、この滋賀守山美容学校は、ただ資格を取るための学校じゃない。
「自分を知って、自分に合った働き方を見つけて、ちゃんと続けていける美容師を育てる」
そのための教育設計を、1年半以上かけて組み上げました。
天野:カリキュラムも、入学時の自己分析から始まって、
「ポジション理解」「応援される人になる力」「目標設計」など、現場で求められる力に直結してます。
私が以前の教育現場では実現できなかった理想を、ここで全部詰め込めました。
──この学校を通して、業界にどんな未来を届けたいですか?
斉藤:僕はね、“辞めない美容師”を増やしたい。
もっと言えば、“美容師で生きていける人”を当たり前にしたいんです。
昔は夢を追って入ってきて、現場のギャップに絶望して辞める…そんな子が多すぎた。
でもそれって、個人のせいじゃない。仕組みの問題なんですよ。
天野:私も、「1年目の壁」を越えられる人を育てたいです。
そのためには、自己理解と人間力が必要なんです。
ここでは、技術だけじゃなく「人としての成長」にも本気で向き合います。
最後に、進路に迷う皆さんへ
斉藤:もし、美容師になりたいって気持ちがあるなら、
“自分に合う学校”を探してください。
合格実績や立地じゃなく、「自分が美容師として生きていける力を育ててくれるか」で選んでほしい。
それが、結果的にあなたの人生を支えることになります。
天野:ここでは、誰かと比べる必要はありません。
自分を知って、自分らしい道を見つけていけます。
「私はここでよかった」と思える場所になるよう、全力でサポートします。